はい。
セデーションによる鎮静と低酸素で、もう会話をすることはできない父ですが、
時々起きては周りを見渡したり、何かを訴える表情をします。
当然、きちんとした食事は摂れないけれど、母が
「何か食べたい?」
「何か飲みたい?」
と聴くと、なにやら反応が。
「何か飲む?」
こくり。
「水?」
反応ナシ
「それともビール?」
(しばらく間が空いて)
こくり。
ビールかよっ!
スポンジで含ませるか、スプーンで運んであげるか。
スーパードライ缶を開けてコップに移して
母がスプーン越しに父の口へ運ぶとごくっと。
「おいしい?」
こくり。
このときの父の満足そうな顔は一生忘れられないくらい、
見ていて嬉しかったです。
すぐに、もっと欲しいというような顔をするので
もう一口。
すると今度は、左手をゆっくり口に持っていって
口をすぼめて待ってる。
意識がもうろうとしている中で、母と晩酌をしていた時を思い出して
ジョッキを傾けているつもりなんだろうか。
母がタイミングを合わせてスプーンで口に入れると
喉越しを味あうようにごくっと。
本当に満足そうな顔。
何口か飲んだら、さすがに疲れたのか
また目を閉じて寝てしまった。
あんなご満悦な顔の父を見たのは何年、何十年ぶりだろうか。
ここまで、最後の親孝行としてできることは何でもやってきたけれど、
僕の中でもう十分、やり遂げた感がこみ上げてきて
昨日は眠れました。